最高裁判所第一小法廷 昭和30(オ)141 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人弁護士菅原勇の上告理由について。
原判決はその挙示の証拠により、訴外Dは訴外Eを代理して本件買収令書を受領
する権限のあることを認定しているのであり、右証拠によれば、右事実認定はこれ
を首肯できる。所論第三点は右と相容れない事実を主張して原審の自由に任かされ
ている証拠の取捨選択並びにこれに基いてなされた自由な事実認定に対し所論の違
法あるが如く主張するものでしかない。
そして右事実認定によれば、本件買収処分は本件買収令書が右Dに交付された昭
和二五年八月二五日頃(この交付の日時の点は原判決の認定するところである)そ
の効力を生じたものと解すべきところ、自作農創設特別措置法四七条の二により右
処分の効力を生じた日から二箇月以内に提起されなければならなかつた本訴は、記
録によつて明かなとおり同二五年一一月二七日提起されたものであるから本訴は出
訴期間経過後に提起された失当のものであり、却下を免れないものと認められる(
本件取消の訴は本件行政処分の相手方からでなく、第三者から提起されたものであ
るが、このような場合でも右出訴期間は相手方に買収令書が交付された日から起算
すべきものと解するを相当とする)。さすれば原判決究極の判断は正当に帰するも
のと云わざるを得ないのであつて、従つて所論第二点は結局判決に影響を及ぼすこ
と明らかな法令違背を主張するものとは認め難いから採用できない。
なお、本件請求の趣旨が第一審以来本件行政処分の取消を求めるものであること
は記録によつて認められる本件訴訟の経過に徴し明らかであり、所論準備書面によ
る陳述によつても右請求の趣旨が本件行政処分の無効確認を求めるものなることを
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明らかにしたものとは認められない(原審昭和二九年三月二四日の口頭弁論調書参
照)。また、この場合原審として所論のように釈明しなければならない義務あるも
のとも解し難い。されば、所論もまた原判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背
を主張するものとは認められない。それ故所論第三点も採用し難い。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 入 江 俊 郎
裁判官 高 木 常 七
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